先月の話になりますが、平成26年6月4日に「建設業法等の一部を改正する法律(平成26年法律第55号)」が公布され、次の法律が段階的に改正されることになりました。(国土交通省の参考HP

  1. 建設業法
  2. 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入契法)
  3. 浄化槽法
  4. 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)

 今回の改正ではいくつかの大きな変更がありますので、以下に紹介したいと思います。

公布日から施行される内容(平成26年6月4日〜)

建設工事の担い手の育成及び確保とその支援に関する責務の追加(建設業法第25条の27及び第27条の39)

 建設業者及びその団体による担い手の育成・確保並びに国土交通大臣による支援の責務が追加されます。

公布日から1年以内に施行される内容(平成27年春頃を予定)

暴力団排除条項の整備(建設業法、浄化槽法、建設リサイクル法)

 許可・登録申請者やその法定代理人、役員等が、「暴力団員」、「暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者」又は「暴力団員等がその事業活動を支配する者」であることが次に示す欠格要件や拒否事由に追加されます。

  • 建設業の許可に係る欠格要件及び取消事由(建設業法第8条、第29条)
  • 浄化槽工事業の登録の拒否事由及び取消事由(浄化槽法第24条及び第32条)
  • 解体工事業の登録の拒否事由及び取消事由(建設リサイクル法第24条及び第35条)

 これにより、許可・登録の際に暴力団員等を排除するとともに、許可・登録後に暴力団員が役員となった場合などに許可・登録が取り消されることになります。

「役員」の範囲拡大(建設業法、浄化槽法、建設リサイクル法)

 「役員」の範囲が拡大され、取締役や執行役に加えて相談役や顧問など法人に対し取締役等と同等以上の支配力を持つ者も含まれることになります。(建設業法第5条、浄化槽法第22条及び建設リサイクル法第22条)

  • 許可・登録申請書の記載事項及び添付書類の対象となる「役員」
  • 許可・登録に係る欠格要件の対象となる「役員」
  • 指示・営業停止処分及び営業禁止処分の対象となる「役員」

 これにより、暴力団員等が取締役や執行役以外の立場であっても事業者を実質的に支配している場合などに、不許可や許可の取消などが行われることになります。

許可申請書の閲覧制度の見直し(建設業法第13条)

 各地方整備局、都道府県に設置されている閲覧所で閲覧できる許可申請書等のうち、個人情報(個人の住所、生年月日、学歴等)が含まれる書類が閲覧対象から除外されます。

注文者から求められた場合の見積書の交付の義務化(建設業法第20条)

 住宅リフォーム工事など個人が注文者となる工事の需要増加が見込まれるため、見積書が手元にないこと等に起因するトラブルの防止を目的として、注文者から求めがあった場合に建設業者に義務付けられている見積書の「提示」が「交付」に改正されます。
 建設業者は、注文者からの求めがない場合であっても、注文者へ見積書を交付するよう努めなければなりません。

公共工事の入札及び契約の適正化の基本となるべき事項の追加(入契法第3条)

 「その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結が防止されること」(ダンピングの防止)が追加されます。

公共工事の受注者が暴力団員等と判明した場合における通知(入契法第11条)

 受注者が暴力団員であること等が判明した場合、公共工事の発注者は、当該受注者が建設業の許可を受けた行政庁へ通知するものとします。

公共工事における入札金額の内訳の提出(入契法第12条及び第13条)

 建設業者は公共工事の入札の際に、その金額にかかわらず入札金額の内訳を提出しなければなりません。
 内訳書の内容については、工事の内容や規模に合わせて各発注者が定めることができ、内訳書のひな形は国土交通省より公表される予定となっています。

公共工事における施工体制台帳の作成及び提出(入契法第15条)

 現在は下請契約の請負代金額が合計3,000万円以上(建築一式工事の場合は合計4,500万円以上)の場合のみ施工体制台帳を作成・提出しなければなりませんでしたが、公共工事を受注した建設業者が下請契約を締結するときはその金額にかかわらず、施工体制台帳を作成・提出しなければなりません。

公布日から2年以内に施行される内容(平成28年度)

許可に係る業種区分の見直し(解体工事業の追加)

 現在は「とび・土工工事業」に含まれている「工作物の解体」が独立し、業種区分に解体工事業が追加されます。
 施行日(平成28年頃を予定)以降、解体工事業を営む者については解体工事業の許可が必要となります。
 ただし、施行日時点ですでにとび・土工工事業の許可を受けている場合は、施行日から3年間(平成31年頃まで)は引き続き解体工事業を営むことができます。(解体工事業の技術者資格や実務経験については現在検討中)